脳神経外科
脳の異変は時間との勝負。専門チームが迅速に対応します。
当科では、脳血管障害・頭部外傷・脳腫瘍・正常圧水頭症・顔面けいれん・三叉神経痛など、脳神経外科領域の幅広い疾患に対応しています。
2010年の診療開始以来、累計2,700例以上の手術・治療実績を地域の皆さまとともに積み重ねてきました。
脳神経外科専門医4名・うち脳血管内治療専門医2名が在籍し、開頭手術と血管内治療の両方に対応できる体制を整えています。一人ひとりの患者さんに最適な治療法をご提案することを大切にしています。
こんな症状があれば、迷わずすぐにご相談ください
- 突然の激しい頭痛(今まで経験したことのない頭痛)
- 手足のしびれ・麻痺(片側だけ力が入らない)
- ろれつが回らない・言葉が出にくい
- めまい・ふらつき・歩きにくい
- 視力・視野の異常(ものが二重に見える、片目が突然見えなくなる)
- 顔のピクつき・顔面の激しい痛み
- 意識を失った・ぼーっとする
- 頭部を打撲した後の頭痛・嘔吐・意識障害
- 歩行障害・尿失禁・物忘れが同時に現れた(正常圧水頭症の可能性)
主な疾患
| 脳血管障害 | 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、未破裂脳動脈瘤、頸動脈狭窄症、他 |
|---|---|
| 頭部外傷 | 慢性硬膜下血腫、急性硬膜下血腫・急性硬膜外血腫、脳挫傷・外傷性くも膜下出血、他 |
| 脳腫瘍 | 髄膜腫、神経膠腫(グリオーマ)、下垂体腫瘍、転移性脳腫瘍、他 |
| その他 | 正常圧水頭症、顔面けいれん、三叉神経痛、その他 |
| 頭痛外来 | 伊丹市内で頭痛専門医の資格を持つ医師が在籍する施設は、現在当院のみです。 「頭痛で困っているが、どこに行けばいいかわからない」という方の、最初の相談窓口としてお気軽にお越しください。 |
脳血管障害(脳卒中)
脳梗塞
脳梗塞は、脳の血管が詰まって血流が途絶え、脳細胞が壊死してしまう病気です。血管の詰まり方には大きく2つのパターンがあります。
一つは、血管の内側が動脈硬化によって徐々に狭くなり、やがて詰まるパターンです。新築のころはきれいだった水道管が、長年使ううちに内側に汚れが蓄積して内腔が狭く細くなっていくのと同じイメージで、加齢による動脈硬化と、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が主な原因です。
もう一つは、血管自体には問題がないにもかかわらず、心臓や頸動脈など別の場所でできた血栓やプラークなどの塞栓が血流に乗って脳の血管に流れ込み、詰まらせるパターンです。脳の血管はいわば「とばっちりを受けた」形であり、血栓を生じさせる原因としては、心房細動などの不整脈が代表的な原因と考えられています。
脳梗塞における入院治療の主な目的
脳梗塞を発症してから最初の約1週間は、梗塞が悪化・拡大しやすく症状が進行しやすい時期です。
- 悪化を抑える:点滴や内服による薬物療法を開始し、梗塞の拡大を防ぎます。
- 原因を調べる:血液検査・心臓検査・画像検査などを通じて、脳梗塞を引き起こした原因を精査します。
- 症状を改善させる:麻痺や言語障害などの症状を少しでも回復させるため、病状に合わせたリハビリテーションを早期から開始します。
退院後について
症状が安定した後は、再発予防が最も重要になります。脳梗塞の原因に応じて、抗血小板薬や抗凝固薬などの内服治療を継続して頂き、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病の管理もあわせて行います。脳梗塞は「一度治療して終わり」ではなく、再発を防ぐための長期的な管理が大切な病気です。当院では退院後も外来で継続して脳疾患についてのフォローを行いますが、生活習慣病の管理や投薬治療については、患者様のかかりつけ医や近隣クリニック、総合病院等と協力して行っていくのが一般的です。
脳出血
脳出血は、脳の血管が破れて脳内に出血が生じる病気です。
主な原因として、高血圧による動脈硬化と、加齢による脳組織のダメージの2つが挙げられます。
出血が起きると、放置すると血腫が拡大して症状がさらに悪化するため、診断がつき次第、速やかに治療を開始することが重要です。
脳出血の急性期の治療について
まず最優先となるのは、血圧を速やかに下げることです。血圧をコントロールすることで出血の拡大を抑え、脳へのダメージを最小限に食い止めます。残念ながら出血が止まらず拡大が続く場合や、血腫が大きく脳への圧迫が強い場合には、手術による血腫除去が必要になることもあります。出血が落ち着いたら、生じた症状の回復を目指してリハビリテーションを開始します。退院後も血圧管理を継続し、生活習慣の改善に取り組むことが再発予防の要となります。
くも膜下出血
くも膜下出血は、主に脳動脈瘤の破裂によって起こる重篤な疾患です。「突然の激しい頭痛」「今まで経験したことのない頭痛」として発症することが多く、迅速な対応が重要です。当院では、CT検査などにより速やかに診断を行い、全身状態の安定化を最優先に対応します。脳動脈瘤の治療には開頭クリッピング術や脳動脈瘤コイル塞栓術などの手術が必要となりますが、当院では開頭手術とカテーテル手術の双方の専門的治療を受けられる体制を整えています。
未破裂脳動脈瘤
未破裂脳動脈瘤は、脳の血管の一部がふくらんだ状態で、破裂するとくも膜下出血を起こす可能性があります。多くは無症状で、頭部MRIや脳ドックで偶然見つかります。当院では、動脈瘤の大きさや形、部位、患者さんの年齢や持病を考慮し、治療を行うか経過観察とするかを慎重に判断します。無理に治療を勧めるのではなく、患者さん・ご家族と十分に相談しながら方針を決定します。
頸動脈狭窄症
頸動脈狭窄症は、頸部の血管(頸動脈)が動脈硬化により狭くなり、脳梗塞の原因となる病気です。自覚症状がない状態で発見されることも多く(無症候性)、脳梗塞の原因精査中に発見されることもあります(症候性)。狭窄が軽度~中等度の場合は内服治療を中心とした管理と経過観察を行い、高度の場合にはカテーテル手術(頸動脈ステント留置術:CAS)などが考慮されます。
頭部外傷
頭を強く打った際には、外見上の傷がなくても脳や脳を覆う膜に損傷が生じていることがあります。当院ではCTをはじめとする画像検査を速やかに行い、異常の有無を確認します。検査で異常がなければ経過観察となりますが、以下のような病態が見つかった場合には入院が必要となる場合があります。
慢性硬膜下血腫
頭を打ってから1~2ヶ月後に、硬膜の内側にゆっくりと血が溜まってくる病態です。高齢者に多く、転倒後しばらくしてから「なんとなくぼんやりする」「歩きにくくなった」「言葉が出にくい」などの症状が現れることがあります。「打った直後は大丈夫だったのに…」という場合も多いため、頭を打った後に気になる症状があれば早めにご相談ください。手術(穿頭血腫洗浄術)で比較的良好に回復できることが多い病気です。
急性硬膜下血腫・急性硬膜外血腫
急性硬膜下血腫は、脳と硬膜の間に出血が急速に溜まった状態で、重症になりやすく緊急手術が必要となる場合があります。急性硬膜外血腫は、頭蓋骨と硬膜の間に出血が生じた状態で、頭蓋骨骨折を伴うことが多い状態です。両疾患は、一時的に意識が回復したように見えても、その後急速に悪化することがあるため迅速な対応が重要です。
脳挫傷・外傷性くも膜下出血
脳挫傷は、強い衝撃によって脳そのものが傷ついた状態です。挫傷の部位や程度によって症状はさまざまで、意識障害・麻痺・記憶障害などが現れることがあります。外傷性くも膜下出血は、頭部への衝撃によってくも膜下に出血が生じた状態で、程度によっては保存的治療で経過を見ることができますが、状態の変化に注意が必要なため入院管理を行います。
脳腫瘍
脳腫瘍は、脳や脳を覆う膜・脳神経などに発生する腫瘍の総称です。良性のものから悪性のものまで種類は多岐にわたり、発生した部位や大きさによって症状もさまざまです。頭痛・けいれん・手足の麻痺・言語障害・視力障害・認知機能の変化などが主な症状ですが、小さい腫瘍では無症状のまま健診や脳ドックで偶然発見されることもあります。
当院では、MRIをはじめとする画像検査で腫瘍の性状・部位・大きさを詳細に評価します。脳腫瘍は手術治療とともに、放射線治療や化学療法を必要とすることが多く、当院では放射線治療などには対応していないため、これらが必要と判断される場合には、大学病院をはじめとする連携施設へ速やかにご紹介します。「正確な診断と迅速な連携」を基本方針として、患者さんが適切な治療を受けられる体制を整えています。
髄膜腫
脳を覆う髄膜から発生する腫瘍で、多くは良性です。小さく無症状の場合は経過観察を選択することもありますが、増大傾向がある場合や症状がある場合には手術を行います。
神経膠腫(グリオーマ)
脳の神経細胞を支えるグリア細胞から発生する腫瘍です。悪性度によって治療方針が異なり、手術・放射線治療・化学療法を組み合わせて治療します。専門的な治療が必要な場合には、連携施設へ速やかにご紹介します。
下垂体腫瘍
脳の下部にある下垂体に発生する腫瘍です。ホルモン分泌の異常(生理不順・先端巨大症・クッシング症候群など)や、腫瘍が大きくなることによる視野障害が現れることがあります。当院では月曜午前に間脳・下垂体腫瘍を専門とする藤田祐一医師(神戸大学脳神経外科)が外来を担当しており、専門的な診断・相談に対応しています。
転移性脳腫瘍
肺・乳腺・消化器など体のほかの部位のがんが脳に転移したものです。原発巣の治療と並行して、手術・放射線治療(定位放射線治療など)を組み合わせて治療します。治療方針については、原発巣を担当する診療科と連携して決定します。
その他の脳神経外科疾患
正常圧水頭症
正常圧水頭症は、脳脊髄液の循環や吸収の障害によって脳室が拡大し、周囲の脳の働きが障害される病気です。
高齢者に多く、「歩行障害・認知機能低下・尿失禁」が代表的な症状です。特に、歩幅が小さくなり、足が地面に張り付くような「すり足歩行」が特徴的です。歩き始めに足が出にくい、方向転換がしにくい、転びやすいといった症状がみられることもあります。
パーキンソン病や認知症、加齢による変化と間違われることも多く、「年のせい」と見過ごされがちですが、適切な診断と治療によって症状が改善する可能性があります。
当院では、症状の経過や診察所見、頭部CT・MRIなどをもとに診断を進めます。治療の効果が見込めるかを判断するため、必要に応じて腰椎穿刺によるタップテストを行います。これは脳脊髄液を少量抜き、検査前後で歩行状態などの変化を確認する検査です。
改善が期待できる場合には、脳脊髄液の流れを調整するシャント手術を検討します。正常圧水頭症では、特に歩行障害を中心に改善が得られることがあります。
「最近歩き方が小刻みになった」「転びやすくなった」「物忘れが目立つ」「尿失禁が増えた」と感じる場合は、年齢のせいと決めつけず、一度ご相談ください。
顔面けいれん
顔面けいれんは、片側の顔面の筋肉が自分の意思とは関係なくピクピクとけいれんする病気です。
多くの場合、顔面神経が脳の付け根付近で血管に圧迫されることが原因です。目の周りのけいれんから始まり、徐々に口元や頬へと広がることが多く、緊張や疲労時に悪化する傾向があります。
治療には、薬物療法・ボツリヌス毒素注射・手術(微小血管減圧術:MVD)の3つの選択肢があります。根本的な治療は手術で、圧迫している血管を神経から離す微小血管減圧術を行います。症状・年齢・全身状態を踏まえ、最適な方針をご提案します。
三叉神経痛
三叉神経痛は、顔面に走る三叉神経が刺激されることで生じる、電撃様・激烈な顔面痛です。
食事・会話・歯磨き・冷たい風など、ごく軽い刺激で突然激しい痛みが走るのが特徴です。「歯が痛い」と思って歯科を受診し、原因がわからなかったというケースも少なくありません。
顔面けいれんと同様に、三叉神経が血管に圧迫されることが主な原因です。治療は薬物療法が第一選択ですが、薬の効果が不十分な場合や副作用が問題となる場合には、微小血管減圧術(MVD)を検討します。症状や画像所見をもとに、患者さんに合った治療法をご提案します。
頭痛外来
頭痛は、日常的によく経験する症状のひとつですが、その原因はさまざまです。単なる疲れや緊張によるものから、脳の病気が隠れているものまで幅広く、正確な診断と適切な対応が重要です。 当院の頭痛外来では、脳神経外科専門医・頭痛専門医の資格を持つ医師が担当します。脳神経外科の専門知識をもとに「脳に問題がないか」を確認しながら頭痛を診ることができるのが、一般の頭痛クリニックや内科とは異なる点です。伊丹市内で頭痛専門医の資格を持つ医師が在籍する施設は、現在当院のみです。
こんな頭痛はご相談ください
・今まで経験したことのない激しい頭痛が突然起きた
・頭痛の回数や強さが最近増えてきた
・市販薬を飲んでも効かない、または薬がないと日常生活が送れない
・頭痛とともに手足のしびれ・麻痺・視野の異常・ろれつが回らないなどの症状がある
・「頭痛持ち」と言われ続けてきたが、きちんと診てもらったことがない
主な対応疾患
- 片頭痛:
頭の片側がズキズキと脈打つように痛み、吐き気・光や音への過敏を伴うことが多い頭痛。適切な薬で発作の回数や程度を大きく減らすことができます。「我慢するしかない」とあきらめていた方も、ぜひご相談ください。 - 緊張型頭痛:
頭全体が締め付けられるような鈍い痛みが続く頭痛。肩こりや首のこりを伴うことが多いです。 - 二次性頭痛:
くも膜下出血・脳腫瘍・髄膜炎など、脳や体の病気が原因で起こる頭痛。「いつもと違う」頭痛・「突然の激しい」頭痛は、脳神経外科での速やかな精査が必要です。 - 薬物乱用頭痛:
頭痛薬を飲みすぎることでかえって頭痛が慢性化してしまう状態。「毎日のように薬を飲んでいる」という方は一度ご相談ください。
担当医
山本 浩隆(脳血管内治療科部長・頭痛専門医)、山口 陽二(金曜担当・頭痛専門医)
伊丹市内で頭痛専門医の資格を持つ医師が在籍する施設は、現在当院のみです。
「頭痛で困っているが、どこに行けばいいかわからない」という方の、最初の相談窓口としてお気軽にお越しください。